対決!日本史

第6回 宗教改革と日蓮仏法の時代

第6回 宗教改革と日蓮仏法の時代

このほど安部龍太郎氏(作家)と佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の対談本『対決! 日本史 戦国から鎖国篇』(発売日2020年6月5日)が上梓されるにあたって、本書の一部を「潮WEB」で無料配信します。第3回までの配信分が、『対決! 日本史 戦国から鎖国篇』の第1章「乱世を生き延びるための『史観』」。第4回から第6回が第2章「歴史から読み解く日韓関係」となります。

十字軍によるヨーロッパのレコンキスタ

安部 前回、イベリア半島におけるレコンキスタ(再征服)の話題が出ました。ローマ帝国時代のイベリア半島はカトリック教徒の所領だったわけですが、イベリア半島はイスラム教徒に奪われてしまいます。その所領を再び取り戻すため、中世のカトリックは十字軍という遠征軍を送り続けました。信仰に基づいた「テンプル騎士団」という軍隊まで送りこんで、ポルトガルやスペインが立国します。
 テンプル騎士団が中心となって作ったポルトガルはちょっと早くて13世紀終わりに今の国境が決まり、スペインが立国したのは1479年でした。
佐藤 後ウマイヤ朝の首都コルドバなんて、11世紀前半に征服されるまで、レコンキスタに対抗してかなりがんばりました。


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『対決! 日本史 戦国から鎖国篇』(小社刊)

安部 イベリア半島にあったイスラム教の拠点グラナダが陥落したのは、それからずいぶんあとの1492年です。
 ポルトガルとスペインが海外に出て行った理由は、一つは財政難でした。もう一つの理由は「レコンキスタ熱の輸出」です。カトリックは世界中でレコンキスタをやろうとしました。その動きの中に、イエズス会の世界布教が乗っかっているのです。くどいようですが、イエズス会の世界布教の裏には、帝国主義と植民地化の欲望が渦巻いていました。
佐藤 これはカトリックのみならずプロテスタントの問題でもありますが、キリスト教の宣教で常に問題になるのは帝国主義化です。帝国主義と自分たちの宣教を、いったいどこで仕分けするのか。この問題が本格的に議論されるようになったのは、第二次世界大戦後のことでした。
 カール・バルト(スイスのプロテスタント神学者)やヨゼフ・ルクル・フロマートカ(チェコのプロテスタント神学者)は「教会はミッション(伝道・布教・宣教)の機能はもたないほうがいいのではないか。なぜなら、我々はすでにミッションと帝国主義とを区分できなくなっている」「今やキリスト教は世界中で知られているのだから、いわば向こうから教会をノックしてくる人だけに信仰を勧めればいいのではないか」と考えました。
 キリスト教の布教の仕方は、仏教とはだいぶ違います。仏教は帝国主義と結びついた発想で宣教されていません。SGI(創価学会インタナショナル)のような仏教団体のこうせん、世界宗教化は、帝国主義や植民地主義のような発想とは完全に対極的です。同じ布教でも、仏教とキリスト教では文脈がかなり異なるのです。

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