創価学会学生部員と『世界宗教の条件とは何か』を語る

第5回 キリスト教と帝国主義

第5回 キリスト教と帝国主義

このほど佐藤優さんの創価大学課外連続講座をもとに編んだ新刊『世界宗教の条件とは何か』(小社刊)が出版された。同書は創価学会学生部メンバーの間で大変な反響を呼んでいる。そこで2019年11月23日、作家の佐藤優さんと創価学会学生部メンバーとの座談会が開催された。参加したのは、首都圏の大学・大学院に通う15人の代表。「佐藤優白熱教室」の模様を、全9回連載でお届けする。 学生の氏名は仮名、学年は座談会が行われた当時のものです。

仏教系の大学に創価学会員が通うということ

半沢卓也(駒澤大学4年) 私は学会4世で、両親はともに入会しています。私が池田大作先生を人生の師匠と本気で思うようになった最初のきっかけは、大学2年生のときに父が脳梗塞で倒れたことでした。私は創価学会の家庭で育ちましたが、高校を卒業するころでも、池田先生が人生の先生であり、信仰の先生であるという意識は薄かったように思います。
大学2年生のとき、父がどうしても復帰できないと医師から告げられたときには、失意の底に沈みました。そのとき池田先生の書籍を読んで、池田先生がすべての会員一人ひとりを大事にされ、会員のためにたくさん書籍を書かれて激励されていることに、はっきりと気づいたのです。どこまでも一人を大切にされる先生の人柄に書籍を通して接し、今までずっと遠くに感じていた先生を「身近にいらっしゃるのだ」と感じました。

創価学会初代会長の牧口つねさぶろう先生は、ご著書『人生地理学』のなかで、世界は「軍事的競争」「政治的競争」「経済的競争」の時代から「人道的競争」の時代へと移らねばならないと訴えられました。
21世紀を「人道的競争の時代」とするために、私自身が宗教者として成長し、社会に貢献できる有益な人材に成長していかなければならないと思っています。そのために、他宗教との共通性をいだし、それを理解して受け入れていくことが重要性でないかと考えているのですが、頭ではわかっていても、他宗教との差異へのこだわりをなかなかぬぐい去ることができません。このジレンマを信仰者としてどう昇華していけばいいのか。人道的競争の時代に、自分が有益な人材としてどのように貢献していけばいいのか、悩んでいます。

佐藤 半沢さんの場合、大きい仏像がある大学に通っているわけだから、それは悩ましいよね。(編集部注:駒澤大学は、そうとうしゅうが1592年(ぶんろく元年)に設立した吉祥寺の学寮を起源とするせんだんりんが発展した大学)


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佐藤優著『世界宗教の条件とは何か』(小社刊)

私なんかは宗門(にちれん正宗)を見ていて非常に不思議に思うのです。学林を作る前、宗門は若い僧侶をずっと立正大学に通わせていました。立正大学で学位論文を書いていると、日蓮さつ論になっちゃうんだよね。なんで教義の根本のところの日蓮本仏論を書けないような大学に行って、平気で学位を取るのか。宗門の僧侶は、そういうことをあまり気にしないんでしょうね。半沢さんが日々悩んでいることは、宗教者として当たり前の拒否反応です。

スコセッシ監督の映画「沈黙 -サイレンス-」はプロパガンダだ

佐藤 2019年11月、カトリック教会のフランシスコ教皇が日本に来て広島や長崎を訪問しました。私はプロテスタントなので、フランシスコ教皇が来日するといってもいちいちはしゃいだりしません。

2016年、遠藤周作原作の映画「Silence」(日本語題「沈黙 -サイレンス-」)が公開されました。あの映画を同志社大学神学部の学生たちに見せました。すると一番出来のいい学生が何と言ったか。「佐藤さん、これはカトリック、特にイエズス会のプロパガンダ映画ですね」と言うのです。
あの映画は1633年ころの日本を舞台にしているわけですが、1633年というと、ちょうど「三〇年戦争」(1618〜48年、ドイツの宗教戦争)の真っ最中です。ヨーロッパでプロテスタント絶滅政策を進めていたカトリック教会が、日本で違うことを考えていないはずがありません。日本の神社仏閣を破壊するなど、しんとう、仏教への迫害を行っていたために、大弾圧を受け、信者が拷問を受けて殺されるまでの状況に悪化していったのです。

しかも映画「Silence」は信者に対して殉教をあおっています。その学生は「キリシタン根絶のために幕府から特命を受けて、宣教師たちを次々と棄教に追い込んでいった井上ちくもりのほうが、信者が大弾圧を受けている状況下では正しかったと言わざるをえません。ポルトガルやスペインでは通用した布教のやり方だったかもしれませんが、日本にはああいう布教のやり方は合わない。この映画を見て、ポルトガルやスペインの植民地政策をになっていたキリスト教を追い出した鎖国政策は正しいと思いました」と言いました。
 
なおかつ映画「Silence」は、遠藤周作の原作を信仰の本質に関する箇所で大きく変えています。「転びれん」になった主人公(セバスチャン・ロドリゴ神父)が死ぬとき、最後にかんおけの中で奥さんが十字架を握らせますよね。こういった形で「カトリック教会は最後には必ず勝利するのだ」というカトリックのプロパガンダになっているのです。
「イエズス会出身の教皇が新たに誕生したから、スコセッシ監督はこういう映画を作ったのだと思います」とその学生が言うので「あなたは非常によく理解している。僕も鎖国は正しかったと思っているよ」と言いました。

プロテスタントとカトリックには、それくらい大きな差があるのです。でもよく知らない人がローマとバチカンに出かけると、ローマ教皇のポートレートと十字架をおみやげに買ってくれたりします。もし私がそうしたものを受け取ったら、即刻ゴミ箱行きです。皆さんにとってみれば、大石寺で買ってきたじゅと日顕の写真をくれるようなものなのです(笑)。

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