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第1回 ニューヨークの若者も「さとり世代」化している!?

第1回 ニューヨークの若者も「さとり世代」化している!?

なぜニューヨークに行ったのか?

 今年(2015年)の6月、総合月刊誌『潮』で行っていた連載「アジア“若者”見聞録」(2015年11月号で連載終了)の取材の一環で、ニューヨークに行ってきました。

「『アジア“若者”見聞録』なのに、なぜニューヨークに行くの?」と、不思議に思う向きもあるかもしれません。そこで、その理由をまず説明しましょう。
『潮』の連載では、2回にわたって「アメリカ化するアジアの若者たち」というテーマで考察を試みました(2015年10月、11月号)。その要旨は次のようなものです。

「一般的には、アメリカの国力は21世紀に入ってから下がってきたと思われている。
 だが、じつはアジアの若者たちに対するアメリカの影響力は、近年むしろ高まっている。
 アメリカ発の流行がアジアに広まる例も増えており、日本よりもそれ以外のアジア各国のほうが、流行が広まる速度は速い。また、アメリカ発の流行であることに気づかないまま、その流行に乗っている若者も多い」

 くわしくは2回の連載で記したのでそちらを読んでいただくとして、ここで、僕自身がレディ・ガガを知ったのは、アジア各国での人気からだったことを、「日本よりアジア各国の方が流行は早い」という一つの例として挙げたいと思います。
 マーケッターとしての仕事でアジアに行った際に、若者たちの間でレディ・ガガがブームを呼んでおり、「へーえ、変わった歌手が人気なんだなあ」と思ったのがファースト・インプレッションだったのです。

 日本の若者の間でレディ・ガガが人気を呼び、マスメディアが取り上げたのは、その2年後くらいのことでした。
一昔前には、アメリカの流行はまず日本に飛び火し、そこからアジア各国にも広まっていくというパターンが多かったと思います。それが今では逆に、日本よりも先にアジア各国にアメリカの情報が広まるようになったのです。僕が「アジアの若者のアメリカ化」という現象に関心を抱いた最初のきっかけが、それでした。

 現在の「アジアの若者たち」を大雑把おおざっぱ俯瞰ふかんして見ると、「アメリカの影響」「日本の影響」「韓国の影響」という3つの因子が、アジア全体のトレンドを決める要因になっています。そして、3つのうちでも最大の因子になっているのが、おそらくアメリカです。アメリカの国際的プレゼンスが低下しているにもかかわらず、そのことと反比例するように、アジアの若者たちへのアメリカの影響力は高まっているのです。

 とくに日本の場合、「3つの因子」のうち「日本の影響」というのは当然ないので、「韓国の影響」と「アメリカの影響」の2つが若者トレンドの大きな決定要因となります。そして、2つのうちでも「アメリカの影響」が大きいのです。
 日本の若者の「海外離れ」が、2007年あたりからずっと指摘されています。海外旅行や留学に行く若者の数も、明らかに減ってきています。その中にあってアメリカの影響が強まっているというのは、ちょっと不思議な気もします。

 しかし、これは時代の変化の反映なのです。インターネットが生活の中に完全に溶け込み、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアが普及した今、わざわざアメリカに行かなくても、アメリカのリアルな生情報はいくらでもパソコンやスマホ(スマートフォン)に流れ込んできます。

 また、どの国でも帰国子女やお金持ちジュニアたちが、若者たちのトレンドを決定づける場合が多く、彼らがアメリカで体験し、日本で取り入れた最新の流行が、ソーシャルメディアを介して若者たちの間に広まっていく、ということもあります。

 ごくかんたんに言えば、これが「若者の海外離れが進んでいるにもかかわらず、アメリカ発の流行が日本で流行はやる」仕組みです。

 そのような背景から、僕は「アメリカの若者たちに現場でインタビューをしたい」と考えたのです。そして、広大なアメリカの中でも、やはりいちばん先端的な若者が集まるニューヨークに行こう、ということになりました。

 ニューヨークで「アメリカのアジア、日本への影響力」の源を見てみる。あるいは、アメリカというフィルターを介してアジアや日本の若者たちを見てみる……ということ。とくに、「アメリカ発の流行」が増えている昨今では、「アメリカで今どのようなトレンドが生まれているか?」に目を向けないと、日本の明日も占えません。そのような意図のもと、ニューヨークに赴いたわけです。

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