「ゆとり世代」を育てるリーダー力

第3回 若手を育てる日本ハム流「泥臭い野球」

第3回 若手を育てる日本ハム流「泥臭い野球」

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博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さん

「チームの勝利」は「個人の勝利」から始まる

原田 日本ハムの監督に就任して、2017年で6年目になります。今の時代に若い子とチームを引っ張っていくリーダーとして、どのような監督像が求められていると思いますか。
栗山 実のところ、やればやるほど、僕はつくづく監督に向いていないと思うのです。
原田 それは謙遜けんそんではなくて。
栗山 いえ、本当にそう思っています。でも、監督に向いていない人間だから、逆にいいのかもしれません。
原田 そうおっしゃいますが、栗山監督にはほかの監督よりもすごく親しみやすいところがあります。
栗山 「この選手のためになるかならないか」「もし僕がこの選手の親だったら、何をしてあげられるか」と考えながら手を打っているおかげかもしれません。あるとき、僕はコーチ会議の場でこう言いました。
「どうすれば選手がチームの勝利に貢献してくれるか。チームとして勝ちを追求するのは当然だが、一番大事な原則は『選手のためになるかならないか』だ」
 たとえなかなかヒットが打てなくても、1打席でファウルを20本も打ってくれたら素晴らしい選手ですよね。
原田 エースピッチャーからそれだけ球数を稼げれば、相手ピッチャーの交替を早められます。
栗山 そういうことだって、きちんと評価の対象にするべきです。
原田 「選手個人のため」を追求していくアプローチは、チームの勝ち負けと相反するような感じもしますが。
栗山 僕も相反するんじゃないかと思っていましたが、実際は全然違いました。選手一人ひとりのために本気で尽くせば、選手はそれだけ成長し、結果としてチームの勝利につながっていくのです。
 2016年からチームに加わったクリス・マーティンという抑え投手が、ケガのせいで1軍から2軍に落ちてしまったことがあります。全員に大反対されましたが、僕は「選手にとって必ずプラスになる。財産、宝物になるから」と押し切って、先発ピッチャーだった吉川光夫を抑えに切り替えました。
 能力があるすごい選手なのに、いまいちブレイクしない。そういう選手を一番苦しいところにもっていけば、命がけで戦ってくれます。
原田 抑えという重要なポジションで打ちこまれれば、ピッチャーのショックは計り知れません。
栗山 先発ピッチャーを抑えにもっていくのはぼうですし、吉川も怖かったと思います。あんなに緊張したことはないでしょう。その後、彼は2017年のシーズンから読売ジャイアンツにトレードされました。彼にはこれからも持ち味を生かしてがんばってほしいと思います。チームの違いなんて関係ありません。
 先発から抑えにスイッチしたとき、彼は涙が出るほどベテランのピッチャーに感謝していました。そうしてがんばり、チームが一つになっていった経験は、吉川にとって大きな財産、宝物になったと思います。

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