「ゆとり世代」を育てるリーダー力

第1回 若い選手中心の「日本ハム野球」はなぜ強いのか

第1回 若い選手中心の「日本ハム野球」はなぜ強いのか

過去の勝利の余韻なんてぶち壊せ

原田 曜平 僕は博報堂ブランドデザイン若者研究所というところで働いておりまして、これまで若者研究をやったり若者向けの商品を作ってきました。少子化で若い人材が不足するなか、どの企業でも「若いスタッフをどうやって育成していくか」という課題が大きな関心事になっています。
 スポーツの世界で結果を出してきたリーダーの指導法、教育法は、ビジネスマンにも応用できるのではないでしょうか。「ゆとり世代」の若者の力をどうやって引き出しているのか、栗山監督に詳しくお話をうかがいたいと思います。
栗山 英樹 こちらこそ、よろしくお願いします!
原田 2016年の日本シリーズ優勝のいんが残るなか、北海道日本ハムファイターズの新しいシーズンがスタートしました。選手の調子はどうですか。
栗山 僕が監督に就任した1年目の2012年、ファイターズはパ・リーグでリーグ優勝しました。ところが翌13年には、リーグ最下位に終わっています。優勝の余韻に酔い、翌年まで選手の心の中に「勝った感」が残ってしまったのでしょう。16年にリーグ優勝したあと、広島東洋カープを破って日本一になったのはもちろんうれしかったですが、17年まで「勝った感」を引きずりたくはありません。
原田 勝負の世界は厳しいですから、過去の勝利の余韻になんてひたっていられませんよね。

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北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督

栗山 2016年10月29日に日本一になったあと、チームはシーズンオフに入っています。オフの時期から、僕は「勝った感」をどう取り去ろうかということばかり考えていました。そこで「チームを壊す」「チームを壊す」と口癖くちぐせのように選手やスタッフに言っていたんですよ。
 ファイターズの方針は「1回勝ったあとは、すぐに勝ちを壊して次の勝ちへと向かう」です。パ・リーグで3連覇したあと10年間ずっと優勝できないよりは、3年ごとに優勝争いに加わるチームでいたほうが、ファンも離れません。
原田 それは栗山監督というよりは、球団全体の考え方ですか。
栗山 ええ、ファイターズはもともとそういう考え方でチームを運営してきました。「勝った感」をぶち壊し、2016年に完成したチームをぶち壊す。そういう考え方で勝負にのぞめば、17年のシーズンも良い結果を残せると信じています。
原田 若い選手であればあるほど、プロ野球選手としての経験値がないぶん「リーグ優勝」「日本一」という余韻にいつまでも浮かれてしまいそうなものですが。
栗山 そういう怖さはもちろんあります。ファイターズには、2軍も含めて同世代の若い選手が大勢います。僕は選手の経験値や知名度に関係なく、周囲から見るとときどき理解しがたい起用の仕方をします。そういうり方が、選手に「自分にもチャンスがある」「いつ他の選手に交代させられるかわからない」という緊張感を生んでいるといいのですが。
原田 「栗山監督は何をしてくるかわからないぞ」という空気が、チームに良い意味での緊張感を生み出している。ベテラン選手はいつ若手に取って代わられるかわかりませんし、反対にプロ1年目、2年目の若手にも活躍するチャンスがあります。2016年の勝利は、チームに良い緊張感があったことがこうそうしたのですね。
栗山 2016年はシーズンの途中から、球団が「監督は何をしてもいいですよ。何か意図があるのはわかっていますから」という雰囲気だったんです。その空気をうまく利用して、ときどき誰も予想しない選手の配置をしながらチームに刺激を与えていきました。

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