米中の攻防と日本の選択 記事トップ

第13回 東京発 中国は“トランプ大統領”とどう付き合おうとしているか?

第13回 東京発 中国は“トランプ大統領”とどう付き合おうとしているか?

 米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選した。
 私はその模様を中国国内で眺めていたが、トランプ候補の勝利を受けて、日本を含めて、国際社会における多くの国家や社会は「これから世界はどうなるんだ?」「不確定要素が大幅おおはばに増加した」「国際情勢は混乱をきわめる」といった“トランプリスク”にしょうてんを当てた反応がきわっていたように感じた。
 とりわけ、日本は米国の同盟国という立場もあり、これから日米同盟をどう管理していくのか、米国のアジア太平洋地域を含めた国際社会におけるプレゼンスやコミットメントはどう変化していくのかといったテーマに、不確定要素やリスクといった視点から向き合い、懸念する空気が充満していた。今年6月、英国が国民投票によって欧州連合(EU)離脱を決めた際の“ショック”に似通っていた。
「英国のEU離脱、ドゥテルテ比大統領の台頭たいとう、トランプ氏の当選は2016年中国外交の三大勝利だ」

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米大統領選で当選が決まり、家族らとともに演説する共和党のトランプ氏 写真=共同

 中国共産党中央で外交政策を担当する一人の幹部はなかじょうだん気味にこう語っていたが(筆者注:2016年12月3日、王毅ワンイー外交部長が中国国際研究院と中国国際研究基金会主催の2016年国際情勢と中国外交政策シンポジウムの開会式で講演した際、「2016年、中国外交は攻めの姿勢で開拓をした重要な一年であった。複雑に多くが変化する国際情勢に直面する中、習近平同志を核心とする党中央の力強いリーダーシップの下、われわれは攻めの姿勢で困難を克服し、開拓と進取の精神をもって、世界情勢が混乱する中でわが国の発展にとって良好な外部環境を確保しただけでなく、国際システムが変化する中で全面的にわが国の地位と影響、および制度に基づいた権利を向上させた」と指摘している)、中国の反応や態度は、まるっきりとはいわないものの、西側諸国や日本国内のそれとは相当程度異なっているように私には映った。“三大勝利”に共通するのは“現状変更”といえるだろう。英国のEU離脱は、西側世界、米国の同盟体系、西側自由民主主義制度・価値観の在り方や行方に少なからずの影響を与えうる。
 ドゥテルテ大統領が南シナ海問題をめぐる仲裁案に“こだわらない”(筆者注:私は仲裁判決にどう向き合うかを含めて、同大統領の政策こうや立場表明には依然として不確実性が存在すると見ている。中国もその点は認識し、警戒心を緩めないものと考えている)立場を表明したことは、西側世界を中心につくりあげてきた既存のルールが国際問題・紛争を処理する過程でかなくなる可能性を彷彿ほうふつとさせる。そして、トランプ氏の当選は、米国の国内民主主義、対外政策、世界的地位とその影響力を左右しうる。
 国力、制度、イデオロギーを含め、西側陣営を後から追う立場にいる中国、より厳密げんみつにいえば、中国共産党としては、西側世界がつまずいてくれること、それを通じて “現状”を変更できる可能性が生まれること、少なくとも修正していける可能性を帯びることを根源的に望まないとは考えられない。
 もちろん、「中国は第二次世界大戦後の国際秩序、特に中国が改革開放政策を取ってからのグローバリゼーションから巨大な利益を得ている。中国は既存の国際システムの最大の受益者といっても過言ではない。したがって、われわれも現状が変更されることを漠然ばくぜんと望むわけではない。ただわれわれも大国だ。中国の存在感や影響力をある程度示していくことが、中国にごうする権益を拡大させていくことにつながるのも事実である」(同幹部)

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