西鉄ライオンズの黄金期を背景に男の友情を描く、渾身の初長編

西鉄ライオンズの黄金期を背景に男の友情を描く、渾身の初長編

西鉄ライオンズの黄金期を背景に男の友情を描く、渾身の初長編

500のエピソードを考え、100のエピソードに厳選

――「僕には長編の書き方がわかっていなかった」と言われましたが、この初長編を完成させることを通して、書き方の極意のようなものがつかめましたか?
平岡 極意というわけではありませんが、「自分には、こういう効率の悪いやり方でしか長編が書けないのかもしれない」とは感じました。
――「効率の悪いやり方」というと?
平岡 2回全面的に書き直したこともあって、構想段階から数えると、僕はこの作品のためにたぶん500個くらいのエピソードを考えました。そのうち400個くらいを没にして、100個くらいのエピソードを選んで書いたのがこの小説なんです。年に何冊も長編を出す作家は、そんな非効率な書き方は当然していないでしょう。でも、いまの僕にはそういう書き方しかできないのだと思います。
 それと、初稿が完成した段階で、担当編集者から「すべてのエピソードを並列に書いてしまっている」と指摘されました。つまり、いちばん盛り上げるべきエピソードと普通のエピソードが分量的にも同程度になっていて、メリハリがない、というのです。だから、勝負どころのエピソードはもっと書き込んで、物理的に長くしてくれ、と言われました。そのアドバイスに従って加筆したので、初稿よりもよくなったと思います。これまで長編がうまく書けなかった原因は、一つにはそこにあったのかもしれません。
――なるほど。ところで、読者に向けて、「この『ライオンズ、1958。』をこんなふうに読んでほしい」というポイントを一つ伝えるとしたら?
平岡 田宮という、自分のシンプルなルールをつらぬいて生きた男を見て、「お前、よか男やなあ」と思っていただけたら、それだけで十分です。
――次回作を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

取材・構成/前原政之(フリーライター)

平岡陽明(ひらおか・ようめい)
1977年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。角川春樹事務所の編集者を経て、フリーライター/フリー編集者。2013年、「松田さんの181日」で第93回「オール讀物新人賞」を受賞。作品にはほかに、「床屋とプロゴルファー」(徳間文庫『短編ベストコレクション――現代の小説2015』所収)など。今作が初の単著。

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