対談 与党・公明党の使命と責任を問う

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憲法改正論議はゼロからのスタート

御厨 今回の参院選の結果を受け、メディアはさかんに「改憲勢力が衆参両院で3分の2を握った。いよいよ憲法改正が始まる」と報道しました。これはやや短兵急たんぺいきゅうな言い方だと私は思います。「3分の2を取った」こと自体に、憲法改正をめぐる実質的な意味はほとんどありません。  国会で憲法審査会を開き、今後の憲法のあり方について議論する。議論の場を設定すること自体が、日本全体に容認されただけの話です。この点についてどう考えますか。
山口 今回の参院選では、野党が「改憲勢力3分の2を取らせない」というキャンペーンを張りました。「改憲勢力3分の2」という言い方は、政治的にまったく意味がありません。なぜならば、岡田克也かつや代表率いる民進党は、憲法改正論議を否定していませんからね。岡田代表は党首討論でも「未来志向で議論する」と言っているわけです。
 民進党を含めれば、改憲を否定しない勢力はとっくに衆参両院で3分の2を超えています。なのに選挙の勝敗ラインを設定するために「3分の2」という数字にこだわる。「われわれに3分の1の勢力を取らせてください」と野党が有権者にお願いするなんて、情けないではありませんか。こういう情けない野党に私たちは負けるわけにはいきません。
 また、テレビキャスターは「安倍首相は改憲を目指している」と言うわけですが、これは大きな誤解です。憲法第99条には首相の憲法尊重そんちょう擁護ようご義務が定められていますから、安倍首相が改憲を目指すなんてことはありえません。実際、安倍さんは自民党総裁という立場でしか「改憲を目指す」とは発言していないのです。
 誰が自民党総裁であろうが、改憲を目指すのは当然です。なにしろ自民党は55年の結党以来「自主憲法制定」を党是とうぜに掲げていますからね。安倍さんであろうがなかろうが、すべての自民党総裁は「改憲を目指す」と言わざるをえないのです。
 いずれにせよ、憲法改正は政府や与党のテーマではありません。与党とはあくまでも、行政権である政府を運営するためのわくみです。憲法改正は立法府である国会しか発議できません。つまり、あらゆる政党と政治家が憲法改正論議の当事者であり、プレイヤーなのです。民進党も共産党も社民党も含めて、みんなで憲法について議論する。いわば「ゼロからのスタート」であって、国民の理解を離れてトントン拍子で憲法を変えるなんてことにはなりえません。

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