米中の攻防と日本の選択 記事トップ

第9回 東京発 Brexitに微笑む中国。日本はどうすべきか?

第9回 東京発 Brexitに微笑む中国。日本はどうすべきか?

「英国が欧州連合(EU)を離脱するか如何いかんに関して、これは英国自身の問題であり、外交政策として内政不干渉の原則を取っているわが国としては、それに対していろいろとコメントする立場にはない。また、この問題は、中国と英国、および欧州との関係という観点からも、敏感かつ複雑なものであるため、政府、メディア、企業人を含め、勝手な議論を進めることは適切ではないと考える」

 6月23日、すなわち、英国がEUから離脱するか、あるいは残留するかをめぐる国民投票をきょこうするその日、私は北京ペキンから東京へ飛んだ。その直前、本稿で明らかにしていくように、英国との関係を高度に重視し、それを戦略的に推し進めていこうとしている割には、中国国内での議論があまりにも少なく、薄いように感じられたため、そんな感覚を中共中央統一戦線部の幹部にぶつけてみたところ、冒頭のような答えが返ってきた。

 国益……

 同幹部の回答を聞きながら、私はこの2文字を思い浮かべていた。英国の動向や将来は中国が国家戦略を策定し、実行していくうえでの重要な要素であり、変数でもある。そんな“国益”に関わる問題に対して、党・政府・軍の幹部をもってしても安易な発言は控えなければならないし、民間人が公の場で好き勝手に発言・議論することなどもってのほかと言っているのであろう。

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EU離脱派の集会で演説するジョンソン前 ロンドン市長 写真=共同

 同じく帰国直前、党内で報道・言論統制やプロパガンダを担当する中央宣伝部に長年勤務する旧知の幹部にも話を聞いてみたが、「メディアは党の立場や政府の公式見解を超えた記事を掲載したり、番組を放送することがあってはならない」と言っていた。

 厳しい報道規制がかれている。

 私はそう判断した。と同時に、英国のEU離脱如何という問題は、中国共産党にとって“そういう性質”のものなのだと解釈した。ここにも国益という名のロジックとボトムラインが共産党の政策決定の上に横たわっている。

 若干余談になるが、中華人民共和国においては、党、すなわち中国共産党が絶対的な権力を保持・誇示し、国家、政府、社会、軍部、市民、市場といった他の要素やプレイヤーをりょうする形で統治を行っている。したがって、客観的に見て、日増しに多元化する国益という産物を共産党による政策や行動だけでカバーできない事は明らかだが、習近平シージンピン時代になってますます顕著になっている「中国共産党による絶対的な領導」という掛け声の下、共産党自身は党益はすなわち国益であるというスタンスで日々の内政や外交業務に臨んでいる。

 そして、それに従わない国民や組織に対しては、断固とした統制や処罰を下している。各国で報道されているように、習近平総書記が市民社会や言論空間を含めた社会全体への締め付けを強化している背景には、中国共産党指導部の“国益”に対するそうした解釈があるのだ。

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