第3回 「国民連合政府」構想を掲げる共産党の本質
第3回 「国民連合政府」構想を掲げる共産党の本質
2016年6月11日、公明党時局講演会に佐藤優さんが登壇。電力ホール(宮城県仙台市)で開かれた講演の内容を3回にわたって抄録する。
在日外国人を排除する「国民連合政府」構想
最近、「国民連合政府」とかヘンなことを主張している政党があります。あの人たちは公明党を目の敵にして「戦争法に賛成した公明党」というキャンペーンを張っています。
平和安全法制のどこが「戦争法」なのか。南沙諸島にどうしてP‐3C哨戒機やイージス艦が出動しないのか。ぜひ説明してほしい。共産党にはまともな説明はできません。
日本共産党はついこの間まで「民主連合政府」とか「人民的議会主義」と言っていました。「国民」という言葉は絶対使わなかったわけです。なぜか。「国民」と言った瞬間、国籍で人を区別することになります。彼らの階級闘争史観から見ればプロレタリアート(労働者)はみんな一緒であって、国籍で人を区別してはいけないはずです。だから共産党は「国民」という言葉を絶対使いませんでした。その共産党が、突如として「国民連合政府」と言い始めたのです。
「人を国籍で差別してはいけない」という発想を、いまの日本の国会できちんと堅持している政党はただ一つしかありません。公明党です。公明党は「政治の主体は民衆である。大衆である」と考え、在日外国人や無国籍の人を政治過程から排除しません。
山口那津男代表をはじめ公明党は、国籍にとらわれるどころか「生きとし生ける者すべてが生存の主体である」という生命観をもっているのです。
『池田大作名言100選』(中央公論新社)という本の中に、国家主義について次の記述があります。
〈国家主義というのは、一種の宗教である。誤れる宗教である。国のために人間がいるのではない。人間のために、人間が国をつくったのだ。これを逆さまにした“転倒の宗教”が国家信仰である。〉
戦前の日本では、政府による国家神道の強要がありました。その結果、日本は朝鮮半島や中国、東南アジアの人々に大変な迷惑をかけました。たんに物理的に他国を侵略するだけではなく、日本軍は人々の心の中にまで踏み込んで支配していきました。これが「国家主義という宗教」がやったことです。
軍部も政府も「国家神道は宗教ではない」と主張しました。「国家神道は臣民としての習慣である。全員受け入れよ」と命令し、すべての人々に神札を受け入れさせていきました。その神札を受け入れず抵抗し、不敬罪と治安維持法違反で逮捕・投獄されたのが、創価学会の牧口常三郎・初代会長と戸田城聖・第二代会長です。創価学会には命をかけてでも守らなければいけない価値観があり、牧口会長は獄中死しました。
国家神道にもとづいた「右からのナショナリズム(国家主義)」の危険性を、創価学会の皆さんは身にしみてよくわかっています。国家主義は右からもたらされるだけではありません。共産党が展開する「左からの国家主義」「左からの排外主義」もあります。
前述のように、共産党はこれまでナショナリズムとは一線を画し、「人民主義」とか「民主主義」という言い方で政策を展開してきました。ところがその共産党が突如豹変し、国家主義へと明確に転換したのです。このベクトルは怖い。私たちは「国民連合政府」という言い方を強く警戒しなければいけません。
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