「いま、公明党が考えていること」

第2回 「核廃絶」への道筋と「軽減税率」導入の本当の効果

第2回 「核廃絶」への道筋と「軽減税率」導入の本当の効果

「アベノミクス」を補強する公明党の「ヤマグチノミクス」

 安倍総理の経済政策は「アベノミクス」と言われていますが、私は山口代表による「ヤマグチノミクス」でもあると見ています。アベノミクスがこのまま予定どおりに進むかどうかは、実のところよくわかりません。

 アベノミクスによる「トリクルダウン」(=富める者が得た利益が、貧しい者にまで自動的に滴り落ちる)を、実感している一般大衆は少ないのではないでしょうか。大企業は空前の内部留保を貯め込み、大企業はもうかっているかもしれません。トリクルダウンによって、中小企業にもおこぼれが流れてくる。そんな実感は、おそらくないと思います。

 山口代表は対談集『いま、公明党が考えていること』の中で、トリクルダウンについて決して肯定的ではありません(125ページ参照)。大企業が潤えば自動的に中小・零細企業まで潤うなんて、そんな甘いものではないわけです。

 99.8%の中小・零細企業を支えるためには、中央政府から命令を下す「トップダウン型」ではなく、現場の声を積み上げる「ボトムアップ型」の政策を展開しなければいけません。中小・零細企業の現場が、大企業から無理な条件をまされて仕事をやらされているのではないか。こうした問題は、公明党のように現場に根ざした大衆政党がチェックしていくことによってしか、変わっていきません。

 「ヤマグチノミクス」のポイントは、なんと言っても公明党によって導入が決まった軽減税率です。10%への消費増税は、2017年4月から19年10月まで延期が決まりました。消費税延期となれば、通常、財務省が全力を挙げて阻止します。ところが今回、財務省は黙っていました。

 これは私の穿うがった見方かもしれませんが、財務官僚は「時間を稼げば軽減税率を撤回させられるかもしれない。軽減税率を消せるのであれば、2年半くらい増税のタイミングが遅れてもかまわない」と考えているのではないでしょうか。私はもともと外務省の小役人でしたから、官僚の論理がよくわかるのです。(会場笑)

「軽減税率を導入すれば、松阪牛やキャビアを買うような連中まで消費税が軽減されてしまう」「軽減税率によって、むしろ富裕層のほうが得をする。軽減税率を導入すれば、消費税の逆進性は高まってしまう」。このような「ためにする議論」もあります。

 民衆の痛税感を軽減し、社会的に弱い立場にいる人を助けるためには、富裕層を敵に回してはいけません。富裕層を敵に回し、富裕層の蓄えをたくさん徴収して、所得があまり高くない人に回す。こういうことをやると社会に分断が生まれ、富裕層が本気で抵抗するようになります。そうなれば経済政策はうまくいきません。

 ヨーロッパは日本とは比較にならない階級社会ですが、そのヨーロッパでは広く軽減税率が導入されています。彼らは軽減税率を導入するにあたり、社会に分断をもたらさないことを重視しました。われわれ日本人も、富裕層と所得が高くない人との分断をつくらないよう、慎重に注意しなければいけないのです。

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