「いま、公明党が考えていること」

第1回 平和を現実的にどう守るのか

第1回 平和を現実的にどう守るのか

2016年6月11日、公明党時局講演会に佐藤優さんが登壇。電力ホール(宮城県仙台市)で開かれた講演の内容を3回にわたって抄録する。

平和安全法制は「戦争法」ではない

 私が外務省に勤務していたころ、公明党の国会議員との付き合いはそれほど深くはありませんでした。私と公明党との関係が深くなったのは、10年ほど前から創価学会の皆さんとお付き合いするようになったからです。創価学会について自分なりに勉強するうちに、創価学会という支持母体と価値観を共有する公明党について、今までとは違うものが見えてきました。

 私はキリスト教徒ですが、公明党や創価学会の会合によく呼ばれます。創価大学で講義をすることもありますし、月刊誌の『潮』や『第三文明』でも連載をもっています。私の自宅は、東京メトロの四谷三丁目駅から徒歩5分くらいのところにあるのですが、四谷三丁目というと、創価学会総本部がある信濃町のすぐ近くです。この駅で男性から声を掛けられたことはないのですが、数年前からよく女性から声を掛けられるようになりました。

「佐藤優さんかね。あんた、いい本書いたそうだね。あんたはきっと幸せになるからね」「『潮』でいつも記事を読んでいるよ」と言う人もいれば、かなり深刻な面持ちで近づいてきて「平和安全法制について公明党は大丈夫ですか」と質問する人もいます。私はこう答えます。「まったく心配ありません。平和安全法制は平和を維持するために本当に大切なのです」。

 なぜ平和安全法制が日本の平和を維持するために必要なのか、理由を説明しましょう。

 平和安全法制をめぐり、野党からは「これは戦争法だ」「公明党は平和の看板を下ろした」と強く非難されました。野党から何を言われようが、公明党支持者が心配する必要はまったくありません。平和安全法制によって、より現実的に日本の平和は強く保たれたのです。

 国会で平和安全法制について議論するにあたり、安倍内閣は2014年7月1日に「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」という閣議決定を出しました(閣議決定の全文はコチラ→
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf

 この閣議決定では、端的に言って何が書かれているのでしょう。中学校や高校で習った数学の「集合」を思い出してみてください。二つのマルが書いてあり、左のマルは個別的自衛権、右のマルは集団的自衛権とします。二つのマルが重なる部分が「集合」です。「7.1閣議決定」によって、自衛権の「集合」はどう変わったのでしょう。

 インド洋での給油のために、自衛隊の船を派遣する。朝鮮半島で有事のときに、アメリカの船の横に日本の自衛隊の船がいる。アメリカの船が攻撃されたときには、自衛隊の船が守る。これら二つの事例は、個別的自衛権でも集団的自衛権でもどちらでも説明可能です。

「7.1閣議決定」が出るまでの日本は、「集団的自衛権は一切行使しません」と言って、すべてを個別的自衛権だけで説明してきました。自衛隊が中東へ国際支援に出かけるとき、個別的自衛権で説明していたのではわかりにくいのは事実です。そこをわかりやすくするために「7.1閣議決定」が出されました。個別的自衛権と集団的自衛権が重なる「集合」は従来とまったく変わりませんし、公明党の山口那津男代表も「今までと何も変わりません」とはっきり明言しています。

 2015年4月、ニューヨークで「2+2」閣僚会合(日米安全保障協議委員会)が開かれました。岸田文雄外務大臣、中谷元防衛大臣、ジョン・ケリー国務長官、アシュトン・カーター国防長官が出席した「2+2」の協議の結果、米軍の海外での戦争を後方支援する自衛隊の範囲を、地理的制限は設けず世界中に拡大するのではないかと少し混乱は生じました。自民党にはいろいろな考え方の人がいます。なかには自衛隊を地球の裏側まで送りたい人もいるわけです。

 平和安全法制をめぐる攻防戦は、野党と与党の間ではなく、公明党と自民党の間で繰り広げられました。自衛隊を地球の裏側まで送りたい自民党議員を公明党がけんせいし、今の平和安全法制に最終的に落ち着いたのです。

 国会での論戦を通じ、公明党は自民党から「他国への武力攻撃を許し、集団的自衛権を丸ごと認めるようなことは今の憲法解釈ではできない」「それをやるためには憲法改正が必要だ」というげんをはっきり取りました。  

 日本がこれまで堅持してきた「専守防衛」を撤回し、「集合」のマル部分を大きく改めることはない。個別的自衛権の枠組みを超えて、集団的自衛権を拡大しない。2014年7月1日の閣議決定によって、はっきりと厳しい歯止めがかかりました。

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