米中の攻防と日本の選択 記事トップ

第7回 北京発 G7外相会議と南シナ海問題――中国がナイーブになる背景と動機

第7回 北京発 G7外相会議と南シナ海問題――中国がナイーブになる背景と動機

南シナ海問題における立場と抗議を表明した中国の真意

 G7外相会議が閉幕した翌日(4月12日)、中国外交部の陸慷ルーカン報道局長(前駐米筆頭公使)は談話の中で、「強烈な不満」を表明した。不満の対象は同会議が発表した海洋安全保障に関する声明が東シナ海および南シナ海問題に言及したことにあると想定される。

 また、同日、中国外交部はG7加盟国の駐中国大使館の幹部を外交部に呼びつけ、中国の南シナ海問題における立場と抗議を表明した。日本国駐中国大使館に対しては全権大使を呼び出した事実からも、議長国であり、外交関係的にも複雑で敏感な関係にある日本を牽制・批判したかったのだろう。

 私が興味深く観察したのが、陸報道官が翌日の記者会見で記者からのG7外相会議と南シナ海問題に関する質問に答える形で発した次の文言である。中国政府の現状認識を理解するうえでに富み、極めて重要なものと考えるため、少し長くなるが、翻訳し、引用することにしたい。

「今回のG7外相会議の前、我々はこの会議と中国は特に関係のないものだと考えていた。ただ一部メディアは日本が今回の会議を通じて東シナ海や南シナ海問題を重点として扱うのではないかと報じていた。会議の正式文書が公開される前、我々も正式文書が出てきてから中国政府として何らかのコメントをするべきか否かを検討すると皆さんに伝えていた。結果的に、我々は確かに文書の中に不正確で、さくのある表現が存在すると考えるに至った」

@‹LŽÒ‰ïŒ©‚·‚鐛Š¯–[’·Š¯‚P‚Q“úŒß‘OAŽñ‘ŠŠ¯“@

記者会見する菅官房長官 写真=共同

 陸報道官は続ける。

「言うまでもなく、国と国との往来において、我々が間違っていると考えることに対しては我々の観点と立場を表明するのは当然のことである。特に、G7加盟国のある高官が中国はG7の声を聞くべきだと公言してきたがゆえに、我々としても関連諸国の駐中使節を呼び出し、中国のこの問題に関する立場を表明した次第である」

 最後には次のようにも語っている。

「G7による声明はとても重要で、世界的にも大きな影響を生み出し、中国に対しても大きな圧力がかかると考えている国家もいるのかもしれない。仮にそうだとしたら、私はそういう国家に対して言いたい、自作自演・自己満足に陥るのは止めたほうがいいと」

 陸報道官の発言の中に含まれる「G7加盟国のある高官」は、日本のすがよしひで官房長官が4月12日午前の記者会見で、「G7外相声明に対して中国が強い不満を示しているが、日本政府としてどう考えるか」という記者からの質問に対して「G7外相それぞれの国の総意であり、中国を含むすべての関係国がしんに受け止めることを期待する」という回答を指しているものと思われる。

1 2 3 4 5 6 7
top
Copyright © 2015 USHIO PUBLISHING CO.,LTD. All Rights Reserved.