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第5回 作家・佐藤優が逮捕された日

第5回 作家・佐藤優が逮捕された日

東京地検特捜部がやってきた

塙 宣之 この対談の第2回で、佐藤さんが東京地検特捜部に逮捕されたときの話がチラッと出ました。
土屋 伸之 2002年5月から03年10月まで、「すげヒルズ」(東京拘置所)に512泊したという話ですよね。
 どうしてそんなことになってしまったんですか。
佐藤 優 00年4月、私は外交官として青山学院大学のはかま茂樹教授(当時)や東京大学大学院の田中明彦教授(同)らを、イスラエルのテルアビブで開かれた国際学会「東と西の間のロシア」に派遣しました。
 そのときの経費を外務省の関連組織「支援委員会」から支出したことがケシカランというはいにん容疑が一つです(※ほかにけい業務妨害でも起訴)。背任というのは、要は「そのオサイフは別のところで使ったらいけないでしょ」ということですね。
 「支援委員会」というのは、簡単に言うとどんな組織なんですか。
佐藤 旧ソ連諸国に人道支援や技術支援をするために、1993年につくられた組織です(2002年に廃止)。旧ソ連、つまりロシア関係の仕事で使うべきオカネを、佐藤はテルアビブの国際学会で使った。これが背任に当たるというわけです。
土屋 ぼくらは法律に詳しくないので、わかりやすく教えてください。それは背任と言える話なんですか。
佐藤 いえ、そんなことはありえません。イスラエルとロシアとの関係を、少しおさらいしてみましょう。1990年から2000年にかけて、旧ソ連・ロシアからイスラエルへ渡った移民は100万人もいます。02年時点のイスラエルのユダヤ人人口は500万人ですから、人口の2割はロシア系ユダヤ人ということです。外交官にとってみれば、ロシアに関する重要な情報は、テルアビブに出かければたくさん取れるわけですよ。だから当時の外務事務次官もこの決裁書にサインをしたのです。

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佐藤優氏

土屋 ということは、「支援委員会」から経費を支出しても問題なさそうですが……。
佐藤 そうでしょ。なんであんなことが事件化されたのか、きわめて不思議な話なのです。当時は「鈴木宗男疑惑」の嵐が吹き荒れていました。
 あのころはテレビで毎日すごい騒ぎになっていましたよね。

※02年に入ってから、田中眞紀子外務大臣(当時)との対立がクローズアップ。マスメディアは「ムネオハウス疑惑」などを連日センセーショナルに報じ、国会では「疑惑の総合商社」とされた。鈴木氏は02年6月に逮捕され、10年に懲役2年が確定。そのため鈴木氏の公民権は停止中だが、17年4月に回復する。

佐藤 そう。あのときは大変だった。鈴木さんは02年6月19日に逮捕され、私はその1カ月前の5月14日に逮捕されました。東京地検特捜部は、私を捕まえれば鈴木さんを有罪にもち込むためのきっかけをつかめると思ったのでしょうね。
 外務省の機密費をチョロまかして競馬馬のオーナーになっているとか、愛人にマンションでも買ってあげたのではないかとか、妙な話が出てくるんじゃないか。私を揺さぶれば、鈴木さんにつながる事件をつくっていける。そんなふうに考えたのでしょう。もっとも、そんな話は取り調べを通じて私からは引っ張り出せなかったわけですが。

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