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第6回 北京発 全人代が醸し出す米中の攻防――北朝鮮の核問題と南シナ海問題

第6回 北京発 全人代が醸し出す米中の攻防――北朝鮮の核問題と南シナ海問題

制裁決議を採択した中国の「北朝鮮核問題」へのスタンスとは

 ここからは、王毅が記者会見で回答した北朝鮮の核問題と南シナ海問題をレビューしていきたい。

 まずは北朝鮮の核問題である。

 今年に入って以来、北朝鮮が4回目となる核実験や“水爆実験”を強行したことを受けて、中国は米国とも交渉・協調したうえで(筆者注:前述の王毅訪米はそのうえで重要な役割を果たした)、3月2日、自らも常任理事国を務める国際連合安全保障理事会において北朝鮮に対する新たな制裁決議「2270」を採択した。

 王毅は「中国は2270号決議を全面的に、完全な形で執行する必要があると考えている。制裁は必要な手段であり、安定の維持こそが急務であり、交渉こそが根本的な道である」としたうえで、次のように主張した。

「現在、朝鮮半島情勢は緊張化しており、火薬の匂いが充満している。この緊張する情勢がコントロールできなくなる事態は各方面にとって災難になるだろう。朝鮮半島最大の隣国として、中国は半島の安定が根本的に破壊される状況や、中国の安全利益がわけもなく脅かされる状況を前に、指をくわえて静観することはしない。我々は各方面が理性を持って自制し、矛盾を激化させないことを強く促す次第である。朝鮮半島問題の最終的な解決には総合的な施策が必要である。ショック療法的に、ただ漠然と一律に制裁と圧力を妄信することは、半島の未来に対して責任を負わないことを意味する」

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ケリー米国務長官と言葉を交わす王毅外相 写真=共同

 興味深く、新鮮に映ったのは、王毅が最後に発した次のセンテンスである。

「もちろん、他国が提起した構想、たとえば、柔軟なやり方で3カ国間、4カ国間、5カ国間の接触などに関しても、朝鮮半島の核問題を交渉のテーブルに戻すことに有利なものであれば、我々は開放的な態度を取るだろう」

 これらのセンテンスから、次の3点を解読できる。

(1)中国政府は北朝鮮の核問題をめぐって米国を含めた各方面と協力していく姿勢を打ち出し、かつ各方面が提起した解決案に対しても比較的オープンなスタンスを持っている。

(2)一方で、米国をはじめとした各方面が北朝鮮問題の解決する過程で「制裁」と「圧力」を出しすぎることに対して、北朝鮮との関係に独自の利益とイデオロギーを持つ中国政府として警戒している。

(3)中国一国だけでは北朝鮮問題の解決に漕ぎつけることができないという認識がかつてないほど高まっている一方で、自らの影響力とリーダーシップを発揮したいという利益願望から「あくまでも対話と交渉」、特に6カ国協議の再開を強調するスタンスは堅持していこうとしている。

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