続・おっさんたちの黄昏商店街
作品紹介
“昭和”が大好きなおっさんたちに、レトロな男子と奔放な女子高生が加わって、町おこしが始まった『昭和ときめき商店街』。「豆腐屋」「映画館」「角打ち酒場」「歌声喫茶」などを舞台に、裕三たち「町おこし推進委員会」のメンバーは、数々の難題を解決していくが……。ある日、商店街を食い物にしようとする半グレたちと、裕三たちは正面から衝突をする。大半の半グレたちは、木曽流忍法の後継者である源次が倒すが、裕三は、半グレのナイフで脇腹をえぐられてしまう。周りは血の海に。誰もが裕三の死を予感したが……。ふたたび、「町おこし推進委員会」のメンバーたちは、帰ってきた。好評を博した『おっさんたちの黄昏商店街』(連載時のタイトルは「ラスト・おっさん」)の続編が堂々の連載開始!
続・おっさんたちの黄昏商店街 目次
- 2021.03.01 更新
- 第11話 『翔太の片恋』・前
- 第11話 『翔太の片恋』・前 腕時計を見ると六時半を回っていた。 翔太は店の前で気息を整える。 そっと扉を押してなかに入るとカウンターの向こうで、七海がぼんやりとした様子で立っていた。暗い表情のように...
- 2021.03.01 更新
- 第10話 『卒業』・後
- 第10話 『卒業』・後 夜の七時過ぎ――。 裕三は『志の田』の小あがりで、おでんをつまみながら源次と向きあっていた。が、肝心の翔太はまだ姿を見せていない。 「川辺を誘わずに、二人だけでこんなところで飲...
- 2021.01.12 更新
- 第9話 『卒業』・前
- 第9話 『卒業』・前 どことなく気分も清々しい。 松飾りも取れ、商店街はいつも通りの様子に戻りつつあるが、辺りにはまだ正月気分が満ちている。 『のんべ』の暖簾をくぐると約束の八時前だというのに、奥の小...
- 2020.10.07 更新
- 第8話 半グレの純愛・後
- 第8話 半グレの純愛・後 『ジロー』の前に立って腕時計に目をやると、一時半ちょっと。 哲司はおずおずと店の扉を開け、奥の席に歩いて座りこむ。注文を取りにきた女の子に「コーヒー」と呟き、小さな吐息をもらして肩...
- 2020.07.29 更新
- 第7話 半グレの純愛・前
- 第7話 半グレの純愛・前 きてはいけない町だった。 わかってはいたが、哲司の足はまたこの町に向かう。といっても哲司の住んでいる所とこの町とは隣合せで、歩いてすぐの距離ではあった。 越境して歩く道順はい...
- 2020.07.08 更新
- 第6話 理髪店の娘・後
- 第6話 理髪店の娘・後 翔太の様子が妙だった。 表情が冴えないというか、沈んでいるというか。 「どうした、翔太君、浮かない顔をして」 怪訝な思いで声をかけると、 「僕は大きな勘違いをしてたかも……...
- 2020.04.30 更新
- 第5話 理髪店の娘・前
- 第5話 理髪店の娘・前 師走の夜は冷える。 裕三は翔太と二人、駅裏にある『志の田』に向かって早足で歩いていた。推進委員会に町内の理髪店『バーバー向井』から相談に乗ってほしいという要請があり、その帰りだ...
- 2020.04.09 更新
- 第4話 健康美顔パン・後
- 第4話 健康美顔パン・後 丈文がいなくなって三日が過ぎた。 依然何の連絡もなく、むろんケータイに電話を入れてもまったく通じない。いったい丈文は、どこで何をしているのか。 店の開店まで、あと六日。少な...
- 2020.03.24 更新
- 第3話 健康美顔パン・前
- 第3話 健康美顔パン・前 裕三の目が腕時計に走る。 時間は八時十分を回っている。 「おい、どうしたんじゃ、裕さん。さっきから時計ばっかり気にしてよ」 源次が野太い声をあげた。 「そうですよ。独...
- 2020.01.07 更新
- 第2話 八人のサムライ再び・後
- 八人のサムライ再び・後 商店街の真中にある『のんべ』に向かって、裕三はゆっくりと歩く。 夕方の商店街は人通りが多い。しかも以前に較べて、数がぐんと増えている。あのせいに違いない。半グレ連中との乱闘をマ...
- 2019.12.10 更新
- 第1話 八人のサムライ再び・前
- 八人のサムライ再び・前 夜の八時ちょっと。 裕三たちは駅裏にある『志の田』の小上がりに陣取っていた。 集まっているのは、昭和ときめき商店街・町おこし推進委員会の面々で通称を『独り身会』。それぞれ...