米中の攻防と日本の選択
作品紹介
冷戦崩壊後、劇的に変化を続ける世界秩序――なかでも中国の台頭は、世界のパワーバランスに大きなインパクトを与えている。米国と中国は、激動の時代にあって、どのような針路を取るのか。この二大国の動向を踏まえずして、もはや“日本の選択”を考えることはできない。米中間が抱える課題を両国現場での調査や関係者への取材を基に分析し日本の未来を考察する。
米中の攻防と日本の選択 目次
- 2017.03.27 更新
- 第15回〈完〉 瀋陽発 北朝鮮核危機は米中関係をどこへ導くか、そのとき日本は?
- 今現在、日本の総領事館もある遼寧リャオニン省の省都・瀋陽シェンヤン市内で本稿を執筆している。同省は北朝鮮と国境を接している。瀋陽市と国境都市・丹東ダンドン市の間には約240キロの距離がある。とはいうものの、瀋陽は平壌ピ...
- 2017.01.27 更新
- 第14回 ワシントン発 トランプ・習近平時代に突入する米中関係:台湾問題は“火種”になるか?
- ドナルド・トランプ氏が約5日後に米国大統就任するというタイミングで本稿を執筆している。 1月11日(米東部時間)、トランプ氏は次期大統領当選後はじめて記者会見をニューヨークで開いたが、「ハッキングはロシアがやっ...
- 2016.12.14 更新
- 第13回 東京発 中国は“トランプ大統領”とどう付き合おうとしているか?
- 米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選した。 私はその模様を中国国内で眺めていたが、トランプ候補の勝利を受けて、日本を含めて、国際社会における多くの国家や社会は「これから世界はどうなるんだ?」「不確定要素が大...
- 2016.11.09 更新
- 第12回 北京発 比ドゥテルテ大統領の“訪中と訪日”から考える中国の思惑と日本の針路
- 「われわれを助けてくれるのは中国だけだ」 ロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン大統領が中国を公式訪問する直前、中国国内世論で蔓延まんえんしていたフレーズである。中国中央電視台(CCTV)の著名キャスター・水均益氏が訪...
- 2016.10.05 更新
- 第11回 北京発 G20杭州サミットを跨いで中国が掴もうとした国益
- 国慶節こっけいせつ(10月1日)を目前に控えた中国国内の一角で本稿を書いている。 過去1カ月の中国外交を振り返ってみると、共産党指導部として持ち前の外交力を存分に発揮しつつ、自らの政治的権益を死守したように見受...
- 2016.08.29 更新
- 第10回 ワシントン発 南シナ海仲裁判決を経て米中関係はどう変わるか?
- 「南シナ海問題を巡る仲裁判決を受けて、米国との関係や交渉はもっと緊迫したものになると予想していた。米国政府も従来からの原則的立場を表明したし、判決案を支持するとも言った。それは中国にとって外交的な圧力を意味するが、中米関...
- 2016.07.20 更新
- 第9回 東京発 Brexitに微笑む中国。日本はどうすべきか?
- 「英国が欧州連合(EU)を離脱するか如何いかんに関して、これは英国自身の問題であり、外交政策として内政不干渉の原則を取っているわが国としては、それに対していろいろとコメントする立場にはない。また、この問題は、中国と英国、...
- 2016.06.06 更新
- 第8回 北京発 中国共産党が抱くG7伊勢志摩サミットへの対抗心とG20杭州サミットの展望
- 5月27日、北京。 夕方から夜にかけて、私は中国中央電子台(CCTV)と、国営新華社通信のウェブページを見ながら、中国共産党が日本の伊勢志摩で閉幕したばかりのG7首脳サミットをどのように評論するかを注視していた...
- 2016.05.02 更新
- 第7回 北京発 G7外相会議と南シナ海問題――中国がナイーブになる背景と動機
- 「岸田外相の訪中は近々あると思われますか?」 「もちろんです。現在その方向で日本政府とも話し合いを続けています」 「仮に中国政府が岸田外相の訪中受け入れに躊ちゅう躇ちょするとしたら、その原因はどこにありますか...
- 2016.03.28 更新
- 第6回 北京発 全人代が醸し出す米中の攻防――北朝鮮の核問題と南シナ海問題
- 「両会リャンホイが閉幕しましたね」 誰に会って話をしてみても、二言目にはこのセンテンスを耳にする北京の片隅で本原稿を執筆している。“両会”とは、全国人民代表大会と全国政治協商会議、二つの会議の略称であり、通称で...
- 2016.02.18 更新
- 第5回 台北発 蔡英文率いる民進党が大勝――日米は何をすべきか?
- 2016年1月15日20時、台北市。 台湾総統府に隣接する広場では、中国とは距離を置く傾向が比較的明白で、現在総統を務める馬英九マーインジョウの前任者・陳水扁チェンシュイビエン総統時代は「台湾独立」を公に唱えたこと...
- 2016.01.15 更新
- 第4回 ワシントン発 「日韓慰安婦問題合意」から見える米中の思惑
- ワシントンD.C.の中心部に位置するホワイトハウスの近くで本稿を執筆しながら、約9カ月前、日本の安倍晋三首相が米国を公式訪問した頃の情景を思い出している。新たな日米防衛協力のための指針を発表したり、日本の総理大臣として初...
- 2015.12.03 更新
- 第3回 北京発 歴史的会談“習馬会”――日米中関係に緊密する台湾情勢
- 11月7日15時。シンガポールという第三の地で中国の習近平シージンピン国家主席と台湾の馬英九マーインジュウ総統による、1949年の分断後初となる歴史的な会談が開催されて間もない頃、私は中国で台湾問題をめぐる政策決定に携...
- 2015.10.30 更新
- 第2回 北京発 TPP“VERSUS”AIIB――米中“取り込み合戦”の先に描かれる未来図。
- 2015年10月26日〜29日。北京ペキン。 政治の季節に浸かっていたこの地では、中国共産党中央委員会第五回会議(五中全会)が開催されていた。この期間、天安門広場周辺を中心に警備が強化される。世論への統制も強化され...
- 2015.10.02 更新
- 第1回 ワシントン発 米中首脳会談で見えた“新型大国関係”の軋轢
- 2015年9月23日18時半。ワシントンD.C.地下鉄レッドライン・ヴァンネス駅から歩いて5分ほどの小高い丘の上にそびえ立つように構える中国大使館は、いつになく、というよりは不自然なほどに静せい寂じやくを保っていた。人...